ペルシア語の現在語根3人称複数人称における口語化現象

他の言語でもあるように,ペルシア語にも口語と文語で違う箇所は多く存在する.

今回は,動詞の現在分詞における3人称複数人称について注目してみる.

3人称複数の現在分詞の動詞接尾辞は,文語では-nd.なので,動詞構成はroot+ndになる.

ところが,口語では3人称複数の現在分詞の動詞接尾辞が-ynになることがしばしば観察できる.したがって,動詞構成がroot+ynになる.

具体例を交えながら示すと,動詞krdnの現在分詞はkn

文語 口語
knnd knyn

になる.

もう一つ具体例を示すと,動詞xwrdnの現在分詞はxrだから

文語 口語
xrnd xryn


あくまで自分の考えだが,nとdの子音の組み合わせはあまり好かれていないのではだいろうか?実際,自分でも-ndと言うよりも-ynの方が遥かに言いやすい.

音声学はやってないので,詳しいことはわからないが,「ペルシア語のnは日本語のnとまったく同じ」と習ったので,だとすると,nは鼻音になる.
dは破裂音のはず.

つまり,鼻音と破裂音の組み合わせは都合が悪い(ぼくの予想が正しければ)と,いうことなんだろうか?
Persian phonology - Wikipedia, the free encyclopedia

それはよいとして,この口語化現象はいつも,すべての動詞で発生するとは限らないというのがなかなか難しいところ.特に計算機の処理では障害になる.
というのも,この口語化の現象が音によって起きているのか?それとも話者の気分によって起きているのか?がよくわからないからだ.なので,「接尾辞が-ynも3人称複数の人称として,全部の動詞に対して語彙辞書に登録したれ!」みたいなことをすると,きっと落し穴にハマる.きっと,そんなことをしたら曖昧性がもっと増加するだろう.

この現象が音によるもので,特定の音の組み合わせを持つ動詞にのみ発生しているのなら,その動詞に対して,-yn接尾辞で辞書展開を行うべき

一方,話者の気分によっているのなら,この現象が起きやすい動詞の分布と,その時の前後に存在する語だとか,話者の年齢だとか..様々な要因を考慮しなければいけなくなる.

個人的にはめんどうなので,前者で問題が収まってくれると楽なんだけど