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日本手話におけるうなずきと接続詞の分析

堀内靖雄 亀崎紘子 西田昌史 黒岩真吾 市川薫
信学技報 2008-5 pp.91-96

要旨

うなずきには後続くうなずきと同期うなずき(通常は「うなずき」と表記)の2種類がある。
後続うなずきは、単語を表現したあと、少し遅れてうなずくこと。
同期うなずきは、単語の表現と共にうなずくこと。

先行研究では、

  • 同期うなずきは発話末にある。接続詞的な単語と同時。
  • 後続うなずきは、単独で接続詞と同等の働きをする(つまり、接続詞の単語を表現しなくていい)
  • 後続うなずきは音声言語には見られない。日本手話特有の現象。

ことを示している。

また,先行研究では、後続うなずきについて、発話末のうなずきのみを示しただけだった。つまり、発話末では単独で接続詞と同じ働きをすることを示したのみ。

そこで、この論文では、発話途中のうなずきについても分析をした。

では、発話末の単独の後続うなずきの意味するものは?

先行研究では、

  • 話題化
  • 順接
  • 条件

の3つを示していた。

これら3種類の後続うなずきは,単独で接続詞の役割を果たす。
(逆に、この後続うなずきをなくすと意味が通らなくなる)

発話途中の後続うなずきには、「ロールシフトを抜ける」機能がある。
ロールシフトを行っている最後の単語のあとに、遅れてうなずくと,「ロールシフトを抜ける」を意味する.
(別の考え方をすると、ロールシフト節と本節をつなぐ接続詞。と考えることができる。つまり、発話中の単語に遅れてうなずく=発話と発話をつなぐ接続詞の役割)

(4章の部分) 接続詞とうなずきの分析

確認だが、先行研究では

  • 発話末、かつ最終単語と同期した場合、文または発話が終了
  • 発話末、かつ最終単語にと同期、かつ最終単語が接続詞の機能をもつ単語の場合、次の発話に継続。

この2つを示していた.

そこで,この論文では「接続詞的な単語と同時うなずきの関係」を分析している.
以下、「接続詞的な単語と同時うなずきの関係」について記述。

接続詞的な単語が「時(時点)」の時の同期うなずき

単語、「時」は必須。逆に同期うなずきは重要でない。なくとも構わない。

接続詞的な単語が「時(仮定)・時(状況)」の時の同期うなずき

単語「時」と同期うなずきが共起する傾向が高い

接続詞的な単語が「時(否定)」の時の同期うなずき

単語「時」と同期うなずきは共起しない傾向

接続詞的な単語が「だから」の時の同期うなずき

単語が文頭でも文中でも同期うなずきが共起する高い高い傾向

接続詞的な単語が「ため」の時の同期うなずき

単語と同期うなずきが共起する高い傾向

接続詞的な単語が「ならば」の時の同期うなずき

同期うなずきが共起する高い傾向
ただし、「ならば」は単語なしで、後続うなずきのみでも表現可

まとめ

単独の後続うなずきは手指で表現する単語と同じ言語(文法)機能を持っている。
(というか、後続うなずきはそもそもが単独の存在)

接続詞は手指でも表現するされ、その場合は同期うなずきをする方が自然(ただし、接続詞により中心にあり)